論 考

権力はどこまでも腐る

 航空宇宙軍の大将スロビキンを解任したニュースが流れた直後、こんどはプリゴジンが搭乗していたジェット機が墜落して、ロシア軍が撃墜したという報道もある。

 個人がつくる社会的関係は道義がなければ成立しないが、国家同士の付き合いにおいては、道義を軽視して、力とカネが幅をきかせる。

 道義なき関係は、ざっくりいえばアウトローの世界である。

 専制政治や、独裁政治なるものは、いわばアウトローが政治を牛耳っているわけで、権力者(とその取り巻き)が超法規的になんでもありの社会をつくる。

 ロシアはもちろん民主主義ではないが、他の民主主義国家も、外交的「悪しき」常識が国内で幅をきかせるようになると専制・独裁の兆候である。プーチン的世界が、いつでもどこでもはびこりやすいのが、権力の因果である。