論 考

読書涼感

 しばらく休まなかったので昨日は「本日休業」。

 『ボーヴォワールは語る』を読み直した。いい本だ。自分の人生設計論を再点検した気分になった。

 ボーヴォワール(1908~1986)の人生観は、「人生は自分の作品」という言葉に尽きる。そのための手立ては、――論理明晰に思想を発展させ進歩する。つねに自分を修正し、ラジカル(根本的)であろうとする――

 ボーヴォワールが、教授資格を取り、少しのんびりしたいと思ったとき、サルトル(1905~1980)はボーヴォワールに語った。

 ――カストール、なぜ考えようとしないの?

   なぜもう勉強しないの?

   あなたは書きたかったのに!

   主婦になりたくないのでしょう?――

 ボーヴォワールを誤解する人々は少なくないが、書きもの、発言を読めば、まさにデカルトの明快・明晰、よくよく考える人生を歩んだ人である。

 人間は自分がなろうとするものになる、という言葉の実践者であった。