論 考

軍と巨大仏像

 悪名を馳せるミャンマー国軍が、首都ネピドーに大理石の巨大な仏像を建設したそうだ。芝居の台詞「お釈迦様でもご存知あるまい」でもなかろう。

 フラインが、悪行を悔いて建設したのでもなかろう。気色悪い話だ。数百年後には貴重な観光資源になるというつもりか?

 昔から権力者が宗教にすがって隠れ蓑にする事例は枚挙にいとまがない。それにしても、救いがたい鉄面皮だ。権力者と偶像信仰は一枚岩である。

 暗黒といわれた欧州の中世から、権力と偶像の欺瞞性が打破されて「人間の尊厳」に到達したのだが、600年のタイムラグがある。人間の迷妄の深さには驚かされるばかりだ。