論 考

パウエル評価が高まる

 中央銀行総裁が世間から評価されることは多くない。中央銀行の任務は、物価抑制と金融システムの維持にあり、問題がなくて当然、あれば大騒動で、問題がないからといって評価されにくい。

 FRBパウエル議長は、強烈なインフレ統制で、積極的利上げを推進した。景気後退を危ぶむ批判的見解はつねに大きかったが、目下、堅実に統制しており、失業率は3.6%に、インフレ率は3%にまで下がった。2%も視野に入ったと見る向きが増えた。

 お金をジャブジャブにすればインフレになり、賃金が上がるというのが、黒田日銀の売り込みだった。総裁10年という長期間在任したが、ホラでヒットは打てないのは当たり前。

 本人が自戒も反省もしないのは恰好がつかないからでもあろうが、パウエル議長と比較さえできまい。

 あちらでは、パウエル氏がソフトランディングに成功すれば、グリーンスパン氏をしのぐ功績者だと評価されている。