論 考

台湾問題の平和的解決

 台湾周辺での中国の演習は、制空権・制海権・制情報権の3権を押さえるものであり、また、今回はミサイルを使わずに台湾封鎖をするシミュレーションが狙いだったという。目的は、台湾の独立勢力の牽制である。

 歴史的事実を整理すると――

 大陸と台湾が1つの中国だとということは歴史的事実である。

 共産党と国民党が戦った国内戦後、大陸は共産党、台湾は国民党がそれぞれ異なる政治体制を敷いてきたのも歴史的事実である。

 そしてこんにちの台湾住民は、内戦後に生まれた人々がほとんどであり、戦後60余年の台湾の歴史が形成されてきたことも歴史的事実である。

 台湾問題の現代的解決のためには、3つの歴史的事実を踏まえた結論を出さねばならない。

 一方、台湾独立絶対論と武力統一論は、いずれも前記3点が満たされない。

 大陸側の意図は、すなわち独立論封じが目的である。

 アメリカが公正な仲介者の立場をとらず、台湾に肩入れするほど、理性的解決から遠のくのが懸念される。

 大陸側は、軍事的3権を押さえても、人心を獲得できないことは十分知っているが、中米関係、とくに米国の挑発を許容できない。

 米国が本当に民主主義を大切にするのであれば、武力を背景にした外交を抑制しなければダメだ。

 万一、戦争になった場合、誰が得をするのか! 1つの中国という理屈を押し出す以上、内戦の大馬鹿行為を再現してはならない。

 これがすべての出発点である。