論 考

もういいでしょう

 やっと黒田日銀の10年間が終わった。市場関係者は株価第一だから、それなりに評価する向きがあるが、いただけない。

 それにしても最後の記者会見まで、全面的に正しかったと主張し続けた。厚顔、傲岸だ。

 日銀の保有国債は580兆円、発行済み国債の50%超である。日本経済が危険な状態にあることは否定できない。

 2年で2%物価引上げはついに達成できず、円安で輸入価格が高騰して実現するというバカな話だ。しかし、これも頑として失敗を認めない。

 安倍氏のもとで、日銀はまさに子会社の役割に堕落した。日銀の独立性は飾り言葉ではない。政治の都合ではなく、国民生活を守る重たい任務である。

 政治の箍が外れてしまったのをどう考えるのか。無責任の極みである。

 どこかの大学で教えたいとも語った。

 「絶対正解がない問題においては、間違えていても、とことん正しいと突き進めば(わが)道は開く。それが社会にとって妥当でなくても、自分のためにもっとも正しい生き方だ」という人生訓でも語るつもりか。