論 考

米国は孤立主義か?

 2024年米国大統領選へ共和党から出馬が取り沙汰されている、テキサス州デサンテス知事が、ウクライナ戦争は重要な国益ではないと発言した。

 これはトランプ氏と同じ、いわゆる米国第一で、他国の問題に資源の無駄遣いをしたくないという立場である。

 共和党内部はウクライナ戦争を巡っては意見が対立している。前副大統領のペンス氏は断固としてウクライナを支持する立場で、いわば共和党内は、孤立主義と対ロシア強硬派の意見がぶつかり合っている。

 ただ注意してみなければならないのは、孤立主義、米国第一主義、対ロシア強硬派にせよ、アメリカの国益については、いずれ劣らずグリーディ(強欲・貪欲)であって、国際正義・国際平和の追求に熱心なわけではない。

 ウクライナ戦争にしても、たまたま巻き込まれたのではなく、米国がウクライナに介入してかき混ぜたという歴史的事実は消えない。つまり、ウクライナ支援は自分がやってきたことの後始末である。

 もともと孤立主義は、1823年にモンロー第5代大統領が、欧米両大陸の相互不干渉を主張したもので、欧州側の介入を避けたかったのである。

 独立した国家同士は、相互不干渉・互恵平等が正しいが、米国の外交史はその精神に基づいていない。与しやすし、わがほう有利とみれば、軍事力を背負った介入干渉をしばしばおこなう。

 すなわち、米国的孤立主義は、米国が世界に君臨することであって、米国的君臨主義というべきものだ。よく使われる言葉では覇権主義である。

 ついでながらわが国の論調は、なんでも米国正義論が前提となっているが、不感症になるほど介入干渉に慣れきっているという事実を忘れたくない。