論 考

育っていない人材

 アメリカは製造業復活に躍起だ。

 目立つのが半導体補助金法で、国内回帰の半導体工場や研究開発に527億ドル(7.2兆円)の大盤振る舞いをする。

 ところが問題は、まず半導体製造施設を製造する技術者・技能者がおおいに不足している。1970年代以来、海外移転で国内に人材も少なくなった。

 職業訓練プログラムを復活、大々的に拡充して、人材育成に乗り出した。学生ローン残額が37,000ドルもある人が多く、高給の仕事に就いていないので、この人たちや、最低賃金とギグワークで生活をしのいでいる人々を再訓練しようという算段もあるらしい。

 泥棒を捕らえて縄を綯うと笑えなくもないが、さて、わが産業界はいかがであろうか。わたしの見るところ、1990年代以降、吹き飛んだバブルとともに企業教育・研修もとどこかへ行って、それっきりではないか。

 一度止めた事業は簡単に復興できない。教育・研修事業の大切さをご存知の人材も消えたのではなかろうか。