論 考

お仕事の本願

 なにかと周辺で不協和音が発生するからだろう。連合会長芳野氏が、(会長職を)「やりたくてやっているのではない」とぼやいておられるとか。

 たいした記事ではないが、少し引っかかる。

 単位組合においても、ほとんどの組合役員が同じであろう。組合役員の気持ちを代表していると言うべきかもしれぬが、まあ、組合プロとして労働界トップに就いたのだから、それを言ってはおしまいだ。

 もちろん、自分の意思に沿わぬ仕事をしたくないのは当たり前だから、やりたくてやっているのではないのはお気の毒である。

 やりたくてやっているのではないから、やることに干渉してほしくないと言いたいのもわかる。問題は、連合会長職がどんなものであるのかについて、認識のずれがあるわけだ。

 ひとこと言えば、労働組合は組合員1人ひとりの力の総和である。幹部が自分の人間的魅力で政府・与党・財界などを説得すればよいのではない。そんなことが簡単であれば、戦前から労働運動の諸先輩たちが悪戦苦闘することはなかった。知恵と汗の出し方を間違えないことが大切だ。

 労働運動の歴史、なぜ大衆運動が高揚しないのか、もっと研究することは山ほどある。足元を見つめねばならない。

 連合という機関を動かせばよいのではない。700万人の組合員が参加する活動を作り出すことが、会長のお仕事のアルファでありオメガである。