論 考

意外な落とし穴

 新型H3ロケットの打ち上げを期待していたが、今回は中止となった。まだ原因が究明されていないので、新聞論説なども、残念・早期の問題解決を期待という内容でほぼ一致だ。

 わたしも新製品開発の設計職場にいた。当時はもちろん現在ほど品質管理体制が徹底していない。だからシステム化されていない品質管理体制のなかで、個人がいかに慎重に完璧を期すか。思えばまったく怖いのである。

 今回の失敗の原因はまだわからない。

 一般論だが、中枢・主要部分の設計・製作・検証はしっかりやったつもりでも、大きな機械である。意外にも、性能にさしたる影響がない部分や、単純な部品、たとえば1本のネジといったようなものの不具合がありうる。

 逆にいえば、成功しなかった場合は、問題部分だけではなく、設計思想から全体構造、細部末端までの点検が必要になる。

 だから、商売としては早々打ち上げたいだろうが、ここは急がば回れの辛い精神的耐力が必要になる。焦ってはいけない。