日銀総裁候補の植田和男氏に関する取材が過熱している。
次期総裁候補としては、まったく極秘に検討されたので、ダークホースというよりもサプライズ的であり、マスコミが名誉挽回とばかりに気合を入れているのかもしれない。
その割には、中身が同じことの繰り返しで、目新しいものがない。そこで、記事は金融行政の予想か人物評に走る。
誰が考えても、現状を一瀉千里に変えられない。よくもわるくも現状の金融事態がある。
これ以上金融緩和をしても効果がないどころか、もはや有害だ。それでも、黒田日銀の10年が形成した現状の流れから、ノッキングを起こさないように正常状態を目指すしかない。
ただし、植田氏がやるべしと思うこと、やりたいことを講義すればよろしいとはいかない。必然的に氏の発言は慎重になる。
だから代わり映えしない報道が紙面を埋めるのだが、先走った下手な予想にせよ、週刊誌もどきの人物評にせよ、退屈でつまらない。
むしろ、黒田日銀の10年間の流れを丁寧に分析して、その結果どんな問題が発生したのか論考を進めてもらいたい。