論 考

研究異聞?

 論文を査読する側が、論文作成者に査読のコメント案を依頼して提出してもらっていたという話には、漫才のボケと突っ込みみたいな趣きがあって、バカバカし過ぎて笑った。

 査読する先生方に、論文に対する関心が低かったのだろう。あるいは、査読するだけの専門的能力が欠けており、尻尾を巻いたのかしらん。

 その論文とは全然別の話だが、論文といっても、枝葉末節を論じたものにお目にかかることが少なくない。もちろん、神は細部に宿るのであって、細かいことを引っぱり出すのが悪いのではない。

 なにを・なんのために研究しているのかという視点が、どこかへ消えていて、体裁だけの論文という具合に感じてしまう。研究は、問題解決に供するものだと思うが、この手の大論文を読むと、問題解決を遠ざけようとしているのではないかと不満を言いたくなる。

 査読コメント案を作成者に書かせることが、大間違いだと知らない先生はおられまい。研究というお体裁はつけているが、中身がないものが多くなっているという現象を示した事件でなければよろしいのだが。