論 考

岸田内閣に課題処理能力なし

 クールジャパンに投入した資金が役立たず、問題になっている。

 遅れた半導体技術立て直しのために巨額資金を投入する。大学の研究人員体制活性化にファンドを設立した。いずれも、果たして目論見が成功するか。元気な声よりも疑心暗鬼の声のほうが多い。やってみなければわからない。やってみようという勢いが感じられないのが面白くない。

 新規事業や、事業活性化に資金は不可欠である。だから、政府がねじり鉢巻きになるのはわかる。問題は、事業遂行の段取りが見えない。最大のネックである。

 半世紀前になるが、筆者のいた電機会社はそれまでの「石橋を叩いて渡らない」と揶揄された方針を転換し、半導体に相当な資金投入を決定した。

 筆者は電子部門にいたこともあるし、経営者の英断を大いに評価した。ところが数年後、それなりに半導体事業は前進したのだが、予算が残った。結局、資金が用意されてもマンパワーが及ばなかった。おカネにミリミリ厳しい民間企業であるから、とにかく使えばいいのよというような性根はない。

 さて、お国の予算の場合は、仄聞するに、あれば使う。しばしば大盤振る舞いが批判される。にもかかわらず、使わなかったとか、下手をすると目的が達成できない事態を招く危惧が指摘される。

 はっきりしているのは、審議不十分である。

 防衛費2%論は、前述の内容よりも格段危ない。政治家・官僚はいかにも粗雑にして乱暴だ。しかも、財政はとんでもない状態にある。議論の出発点から段取りを間違っている。

 空中分解しそうな岸田内閣がこなせる課題ではない。