論 考

ここ一番のバイデン氏?

 24日にアメリカ民主党進歩派議員連盟CPC(ジャヤパル下院議員会長)30名が、ウクライナ戦争終結のための交渉をおこなうようにバイデン氏に書簡を送った。バイデン氏は、ロシアと交渉するか否かはゼレンスキー氏が決めるとコメントした。

 ところが翌25日、ジャヤパル議員が書簡を撤回すると発表した。理由は、共和党の主張と混同されるのでタイミングがよくなかったとする。

 共和党はこの数週間、共和党が「11月8日の中間選挙で下院の多数派を占めれば、議会がウクライナを全面的に支援し続けるのは難しくなる」と主張しているので、それと混同されるのは具合が悪いというわけだ。

 民主党一部議員は、「この書簡は、戦争に負けている戦犯に和解を申し出るようなものだ」と反発している。

 この文脈から、アメリカ内にウクライナ戦争を停止させようとする見解があることを示す。バイデン氏は、交渉するか否かはゼレンスキー氏の意向だというが、戦争の初期段階で、停戦交渉の動きがあったとき行動を起こさず、全面的支援するから戦うべしと、米国・NATOが働きかけたという情報もある。

 ロシアが、汚い爆弾説を持ち出したのは、おそらくはロシア側がそれをやるための布石(偽旗作戦)だという見方を捨てられない。核兵器使用へ向かう意思表示だと読めば、プーチンが追い込まれているとも読める。

 いずれにしても、中間選挙を直前に控えて、バイデン氏がいかなるリーダーシップを発揮するか、問われていることもまちがいない事実である。