日々道楽

スノビスム全盛の時代の意味

 「芸術の運命を問うことは人間の運命を問うことである」

 この言葉を信じていたか、そうありたいと願っていたかはともかく、20世紀初頭の芸術は、印象派の台頭に始まり、フォービズム、キュビズム、表現主義、抽象派、構成派、ダダイズム、シュールレアリスムなどへと、芸術変革運動が盛んだった。

 絵画の場合、素人が画風から思想を読み取ることは容易でないが、すでに定説化した先人の理論によると、古代ギリシャが人間の理想的身体をもって世界を表徴したことにならえば、19世紀末から20世紀初頭は、芸術家たちに「病む身体」の時代と受け止められた。

 まず現状の破壊から原初へ回帰しようという願いや、新秩序構築への大胆な試みが芸術活動において展開された。

 しかし、時代はスノビスム(俗物根性)と、レトロピア(懐旧思想・感情)がはびこり、不都合な現状の創造的破壊も、新秩序構築への雄々しい動きも形成されず、典型的スノビスムと後ろ向きの政治がおこなわれた結果、欧州戦争(第一次世界大戦)に突っ込んでしまった。

 いまは、華々しい芸術活動は見当たらないが、スノビスムとレトロピアの雰囲気だけはまさに20世紀初頭と酷似しているのではなかろうか。

 いわく、危ない時代である。世界は軍拡一直線だ。世界の軍事費は2兆ドルを超えた。プーチンが時代錯誤だろうが、狂っていようが、その精神・思想を打破せずして軍拡だけに走るのであれば、世界は後退するしかない。頭を冷やして、立て直さねばならない。