論 考

非同盟の外交

 16日上海協力機構SCOが閉幕した。併せて、習近平・プーチン会談がおこなわれた。プーチンが「ウクライナ侵攻への中国の懸念を理解している」と語った。BBCは、予想外だったとコメントしたが、これで2月北京冬季五輪前の習・プーチン会談後のウクライナ侵攻を中国が知らなかったことが傍証された。

 プーチンはモディ首相との会談でも、同様の発言をし、SCOでは全体に低姿勢だった。ロシアが孤立していることの傍証でもある。

 西側のメディアが、ウクライナ戦争について中ロまとめて批判的論調を展開しているのは、悪意の思い込みが過ぎる。中国は、ウクライナとも友好関係である。主権と領土保全は中国の大方針だから、ウクライナに対するプーチン路線を支持する気はない。

 米欧を軸とした対中包囲網を許容できないから、大局面では、中ロパートナー関係であるが、それは米日関係のようなべったりではない。

 ウクライナ戦争のトバッチリを食らいたくないのが本音である。今回の習・プーチン会談についての中国報道も他の首脳との会談と同じ扱いだ。

 SCOは非同盟主義であり、他国の内政干渉には断固反対する。中国は大昔からのシルクロード戦略を大事にする。一帯一路は現代版のシルクロードである。

 いわゆる西側の中国包囲網は、世界を不安定化する反作用が大きい。単純に正義は我にありという構図を押しまくるのは、外交オンチのなせる邪道だということを忘れてはならない。