論 考

岸田氏へご提案

 読売新聞は、沖縄県知事選挙を不毛な対立と呼ぶ。その意味は、玉城知事再選が、成果が実らない仕儀だというにある。

 2014年翁長知事当選、2018年と今回の玉城知事当選、2019年の県民投票での辺野古反対と、2014年からだけでも8年間にわたって民意は、辺野古新基地反対を明確に意思表示した。

 政府の、「辺野古新基地しかない」というのは、1つの見識であっても、天の声ではない。しかも、土砂投入は11%にすぎず、軟弱地盤を考えると、工事が確実に可能かどうかもわからない。予算は、当初予算の2倍を超えた。

 沖縄県に対する振興予算を振り回すのは、権力の横暴以外のなにごとでもない。米軍戦略からしても、沖縄基地に固執する意義は薄らいでいる。沖縄基地は、守りにはおおいに不都合である。標的にされやすい。

 下地氏の公約は折衷案みたいでもあるが、質的には、辺野古新基地に拘らない解決を目指そうという、なかなか意味のある提案だ。

 この際、岸田氏が、下地氏の提案の趣旨をよくよく考えて、従来と異なった提案を打ち出すことができれば、人気回復のおおいなるチャンスにもなる。試みる意義はきわめて大きい。あわよくば、一挙逆転、大政治家への道も拓く。

 不毛な対立を解消するのは、政府・与党のアイデアと度量にある。