論 考

英国の新首相

 英国首相に、保守党はトラス氏を選んだ。

 事前の予想では、スナク氏に大差をつけると見られていたが、トラス氏81,326票・スナク氏60,399票で、トラス氏の得票率は57%。ジョンソン氏が選ばれたときは66.4%であったからかなり低い。

 トラス氏は選挙戦でもジョンソン氏支持を押し出し、ジョンソン辞任の引き金になったスナク氏との違いを強調したが、奏功しなかったようだ。つまりは、保守党内部の反ジョンソン意識が依然として強いのだろう。

 見たところ、かなりの保守派だ。10代のころは、自由民主党の党員で王政廃止論をぶっていた。その後保守党へ転身した。それを突かれると、若い時は、セックスとドラッグとロックンロールに熱を上げると切り返した。

 王政廃止論とセックス・ドラッグ・ロックンロールを並べて語るのは、ずいぶん大胆不敵なようでもあるが、女王は苦笑しているのだろうか。

 さっそく国民生活の光熱費高騰問題に取り組まねばならない。外交は強硬路線だ。「自由を愛する」というのは同感だが、世界を分断する流れに熱を上げるのは反対だ。分断の秩序には安定がない。

 EU残留の主張だったが、ブレグジットが成立すると俄然ブレグジット強硬派に転換した。思い切りがいいと言うべきか。サッチャーになぞえられると不快感を示す、サッチャー以上のトラスになる心意気らしい。