論 考

穀物積み出し合意の遂行を

 22日に国連・トルコの仲介で、ウクライナ・ロシアが、穀物積み出しで合意文書にそれぞれ署名したが、23日オデーサ港に、ロシアからと思われる空爆があって、緊張が走った。

 ロシアは自分ではないとしているが、まあ、ロシアだろう。

 なぜこんなことをやるのか考える。

 合意文書を直ちに破棄するのではないだろう。合意時点で、エルドアン氏が「終戦への第一歩を期待」だと発言し、グテーレス氏は「希望の光」だと語った。

 それに対するロシアのコメント、意思表示ではなかろうか。つまり、いつでも合意文書破棄が可能だ。誰が主人公なのか忘れるなよ、というのである。もともと海中に敷設した魚雷撤去をウクライナが渋っていたので、それも含めて、合意をさっさと履行しなければ、いつでも破棄してやるという心理作戦で、さらには、歪んではいるが、事態が停戦へ向かうことを期待しているのではないか。

 したがって、関係者としては、合意文書履行を淡々と推進するのが上等だ。具体的に穀物積み出しが開始すれば、新しい事態が見えてくる。