論 考

サボタージュ・儀礼首相

 コロナ感染拡大が急速で、すでに保健所や医療部門は手が回らない。

 濃厚接触者の待期期間を5日にする。最短3日にするというが、なんら拡大防止策にならない。

 政府与党の政治戦略は、人々の関心が高いことに集中して、理解を得るという場当たり主義だが、コロナに関してはまったくお手上げだ。

 岸田氏は自民党総裁選以来、2020年以来の感染拡大防止対策を徹底検証してこの6月に司令塔を作るとした。なるほど司令塔の名前はできたが、中身はなにもない。

 4月から6月の3か月間、対策分科会を意図的に開催しなかった。まちがいなく選挙対策だ。検証委員会を1か月ほど形式的に開催したが、検証の触れ込みにまったく充当しない。

 安倍氏が、目くらまし先読み型フェイクであったのに対して、岸田氏は沈黙型サボタージュで、程度の悪さは両者似たり寄ったりだ。

 実質的に内政は停止している。

 国葬は儀礼としておこない、人々政治的評価や、服喪を求めないそうだが、まさに、ここに岸田政治の形が象徴されている。すなわち、政治は儀礼であって、国民はどうでもよろしいというわけだ。

 岸田氏はリベラル宏池会の領袖だが、仕事をする心積もりがあるのか。首相ポストは儀礼的役割だと考えているらしい。内外多事多難の政治を委ねられる人物とは言えない。