論 考

バンザイ精神か

 コロナ感染18万人超増加、政府は「現時点で新たな行動制限は考えていない」そうだ。黒田日銀は、「金利を引き上げるつもりは全くない」そうだ。

 いずれも発言はきっぱりしているが、こちらから見ると、なにもしない・できないことをきっぱり発言したわけで、社会通念では「お手上げ」という。

 コロナは、足掛け3年になる。他国がワクチンを開発し、治療薬を開発してくれただけで、わがほうの問題解決能力はほぼ前進気配がみられない。

 黒田氏は9年前に、インフレ率2%を2年で達成すると公言して日銀総裁に就任したが、なんと2期目をあと1年に控えて、みごとなまでの空振り。当時、岩田副総裁は、記者の質問に答えて、公約が実現しなければ辞職すると見得を切った。まことにご立派だ。

 カナダ、韓国、米国、豪、英国、ユーロは相次いで利上げした。日本は、まったく打つ手なし。円安にして、おカネをジャブジャブにしたが、出口が見えない。アベノミクスなる空手形が、日本経済を不安に落とし込んでいる。

 1960年前後の日本は、高度経済成長であった。社会を冷静にみると、混乱と無統一で、なんでも旺盛に受け入れて平然としている。いわばなんでもあり、なにが価値であるかなどおよそ論じない気風だと嘆いたが、60年後の現在も、なんでもありで、いかなる風が吹こうとお構いなし。考えざる葦だ。

 この気質にして、自民党的政治あり。