論 考

三題噺-コロナ・国葬・株主訴訟

 コロナ感染拡大は、2年半過ぎて累積感染者が1000万人を超えた。いまの勢いはきわめて強い。医療現場の悲鳴が聞こえる。

 岸田氏は、昨日の記者会見で、安倍氏国葬・コロナ対策・電力対策・物価対策に触れた。

 国葬の是非については、内閣の最長記録・国際社会の評価・実績の3点を挙げた。最長記録は事実であるが、長いにしては実績がお粗末だ。

 アベノミクスのネーミングで誇大宣伝をやった事実はあるにしても、日本経済は量もさることながら質がきわめて劣化した。とくに議会制民主主義を貶め、官僚の堕落を招いたことと合わせて、大きな失点である。

 国葬は、アベイズムによる政治・経済の不首尾を葬り去って出直そうという意義があると解釈するならば了解するが——

 コロナ感染拡大に対する施策になんら見るべきものがなく、バンザイ状態。菅内閣同様コロナ辞任の状況である。

 岸田氏は自民党総裁選以来、コロナ感染問題発生以来の徹底的検証をおこなって司令塔をつくるはずであった。ところが、徹底的にサボって中身のない形だけの検証をおこなった。

 つまり、やりもしないことを公約してサボったところへ、猛烈な感染拡大であるから、追い込まれている客観的事実は、菅氏よりも厳しい。

 ところが、今朝の新聞1面見出しはトップが大々的に「この秋、国葬」である。細かい政治的技術でいえば、コロナ隠し国葬ともいえる。

 まあ、これは嫌味だが、安倍内閣の客観的・歴史的評価が定まらないのに、儀礼に熱を上げるのは感心できない。なお、外国からの弔問儀礼を国際社会の評価に短絡するのはナンセンスである。

 儀礼よりも、お仕事をしてほしい。東電旧経営者に対する株主訴訟についての東京地裁の判決は、しかるべきトップリーダーたるものは、本気で仕事をせよというにある。岸田氏には、その深い意味がわかっていないらしい。