論 考

英雄ゼレンスキー称賛だけでいいのか

 スイスで、「ルガーノ宣言」が、40カ国と国際機関によって発せられた。ウクライナの長期的・経済的・技術的支援をおこなう。復興の土台となる原則だというのだが、戦争を終わらせないのでは、空証文と同じだ。

 一時期、ウクライナが優勢の報道が多かったが、いまは、ロシアの一方的攻勢が目立つ。戦争報道は、どこからどこまで本当かわからないが、常識的には、ウクライナ軍の状態は破滅的だろう。

 ゼレンスキー氏が英雄視されている。しかし、西側の支援を確保するために、なんとしても戦争を続けているように見える。

 身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれというが、いまの事態はまったく展望がない。ロシアの侵略を潰して、ウクライナを勝利させるという西側のドラマツルギーを押し立てて、ロシアを徹底的に追い込む考えだろうが、いったい、ウクライナの余力は十分なのだろうか。

 ウクライナの死者は6万人、行方不明5万人という未確認情報もある。

 一将功なりて万骨枯る事態ではないか。西側は、停戦を推進するリーダーシップこそが必要だ。