論 考

自民党内の悪質なガン

 歴史認識がなっていないのが安倍氏の特質だが、今度は、日本経済についても、事実を認めたくないので、自民党内部に波風を立てている。

 自民党財政健全化推進本部の提言に、「過去30年間のわが国の経済成長は主要先進国中で最低レベル」、「初任給は30年前とあまり変わらず国際的な人件費で見ても『安い日本』となりつつある」などと書かれていたものを潰した。

 これは、隠しようのない事実である。安倍政治の特徴は、おいしそうな話で時々を乗り切ることだったが、過ぎれば、事実が残る。

 事実を認めないのだから、今後について的確な方針が立てられない。

 自民党内部にも、「アベノミクスのプロパガンダではなく、失われた30年を真摯に振り返る責任がある。日本経済の余命はあと何年か」という正しい危機感を示す人もいる。

 なにしろ、安倍氏はいまだ日銀子会社論で、国債で防衛費2%を達成せよという調子だから、話にならない。

 国粋主義者でも、国家主義者でもない。国のことなどほとんど考えていない権力亡者に過ぎない。自民党は内部に悪質なガンを抱え込んでいる。