論 考

芳野連合は性根を据えて挑め

 参議院議員選挙に対する連合の決起集会が開催された。

 「働く人の生活改善が基本だ」(読売社説6/2)というのはその通りであるが、働く人とは、連合傘下組合員だけではない。

 岸田氏公約の新しい資本主義が、自民党的パッチワークで、看板が恥ずかしい事態に至っている。安倍時代と変わらず、たとえば分配といえば、トリクルダウンの考え方であるから、全然新しくない。

 連合は今回選挙で、比例区9人、選挙区46人の候補者を押し立てている。芳野氏は、人物本位だと主張する。

 人物本位は当たり前だ。それを前面に押し出すのはパンチ力を欠く。実は、連合として、わが社会をどのように成長発展させるのか。働く人の社会的地位だけ考えてみても、半世紀前と比較して生活は改善されたとしても、社会的地位のほうは相対的にどんどん下降を続けている。

 それは、連合会長が自民党に接近して、政策を飲ませれば改善するというようなものではない。この動き自体が、立憲と国民の力合わせにつながらない。

 選挙はもちろん、本来政党が地力で戦うものだが、働く人の地位向上を任務とする連合としては、働く人のために活動する政党の輪を広げる志がほしい。

 連合は民主主義を守るという。敗戦後に民主主義になった経緯を考えれば、守るではなく、民主主義を推進する積極的な構えが大切だ。自民党との関係について、いまのスタンスがパッとしないことは部外者にもわかる。

 連合会長は、選挙応援では大きな力を持っているはずである。選挙戦では、働く人の地位向上と民主主義を育てる意義について、しっかり話してもらいたい。