論 考

政治職人

 だいたい、憲法を読みもせず、改憲だ、護憲だと騒動する気風が長く続いている。まことにお粗末である。勧学院のスズメである。

 まず、憲法を読む。そして、憲法が誕生するに至った経緯を考える。ことは、わが国民1人ひとりの見識の問題である。

 議会で、やいのやいのと騒動する陣笠諸君に言いたい。改憲・護憲の前に、憲法が、いかにきちんと運用されていないかの現状分析からおこなうべし。

 蜷川虎三氏(1897~1981)は、1950年から78年の長きにわたって、京都府知事を勤めた。府庁舎には、「憲法を暮らしの中に生かそう」と大書された垂れ幕がいつも下げてあった。

 蜷川氏は、護憲ではない。「活憲」であった。憲法とても、使い込むから価値が出てくる。憲法を民主主義の道具として徹底的に駆使した蜷川氏は、いわば憲法という道具を使いこなした政治職人であった。

 こんにち、腕のよろしい政治職人がおられようか。