ビジネスフロント

小・中・高生から金融リテラシー教育を

 自分が20歳の頃はまだ学生、今にして思えば未熟そのもの。暇さえあれば、車の模型をいじり、バイトで稼いだお金は、飲食代と車の燃料費や部品代、そして、テニスやスキーなどの遊びに費やす一方でした。

 数年後、社会に出てからも、たいして変わらずの生活。なまじ収入が増えた分、飲食代も増え、自動車も買い替え、スキー好きが大勢いた職場でもあり、協定控除で部活としてせっせと積み立てをして、冬になると暮れから3月中旬までは、毎週末スキーに出かけるという浪費生活を送っていました。

 特に自動車は、ローンでの購入を打ち出の小槌のように勘違いし、当時は金利も高かったというのに、付属部品やオーディオなどにもローンを組み、無駄な利息を払っていることなど、露ほども理解していませんでした。

 不幸中の幸いはまだクレジットカードを持っておらず、リボ払いという悪魔のようなシステムも知らなかった(存在しなかった?)こと。利用していた日には、どうなっていたか想像すると、ゾッとします。

 この4月から、成年年齢が引き下げられ、18歳から「おとな」ということになりました。既に2016年から与えられていた選挙権に加え、10年有効のパスポートを取得できるとか、公認会計士や司法書士といった国家資格を取得することができるなどの権利を得られます。未成年の時には必要だった親の同意が無くとも、携帯電話や部屋の賃貸を契約したり、クレジットカードを作ったり、ローンも組めます。一方、お酒やタバコ、公営ギャンブルなどは20歳からのまま。ただし、パチンコは「公営ギャンブル」とは異なる扱いになっているため、これまでも18歳からとなっていました。

 なぜ、成年年齢を引き下げたのか。政府関連ホームページの資料によると、「OECDを始め、ほとんどの国の成年年齢が18歳だから」とのこと。ゲームを買って欲しい小学生の太郎君が、「だって、みんな持ってるんだよ」と親にせがむシーンを想起してしまいました。

 なにも諸外国がそうだからと言って、高校生活の途中から成年年齢横並びにしなくてもいいのではないのか。それどころか、最近では大学に行く人数も増えていることだし、平均寿命も延び、就労年齢も上がり、人生丸ごと長い方向にシフトしているのだから、成年年齢は22歳などに繰り下げしてもいいくらいではないだろうかなどと考えてしまいます。

 しかし、決まってしまったものは仕方がありません。ならば、お金の話を敬遠するのではなく、小・中・高校生のうちにカリキュラムとして金融リテラシーの教育をしっかり取り入れ、お金との大事な付き合い方を学ぶ環境整備も考える必要があるのではないでしょうか。

 さて、自分はと言えば、組合役員を体験したおかげで、ろうきんや労済から金融に関する知識は学ばせていただきましたが、なかみは相変わらず…。車の模型遊びは、24/24の原寸大に代わり、ボール遊びや雪遊びも相変わらずと、ちっともおとなになりきれていない気がします。