論 考

マクロンかルペンか

 フランス大統領選挙の決選投票がいよいよ明日に迫った。ルペン氏にはなんの縁故も怨恨もないが、典型的ポピュリズムの政治家で、彼女が大統領になって国際舞台に登場することを考えると気持ちが穏やかではない。

 フランスは、大革命時代から、反権力抵抗精神と、デカルト以来の懐疑精神が旺盛らしい。人々は、ものごとの明晰・判明を求めると同時に、上から視線が大嫌いというわけだ。

 決選投票の鍵を握るのは左派である。左派だから、極右のルペン氏など眼中にないと思うが、反権力抵抗精神が全面的に打ち出されると、左右がルペン氏を押し上げる可能性がある。

 懐疑精神と知的なことでは、左派は右派を圧倒する。しかし、感情の生き物たる人間だから、いささか心配になるわけだ。

 フランス大統領選挙が、こんごの国際政治に及ぼす影響は小さくない。