論 考

死の政治家

 1月末時点では、ゼレンスキー氏が、欧米各国がロシアの挑発を拡大させていると分析し、パニックを作り出すな、と欧米に注文していた。

 イギリスでは、ジョンソン首相のクビがいつ飛ぶかと噂されていた。フェイク混じりでEU脱退を主導し、予想通り、イギリスは脱退で手痛い損失を被った。さらに、コロナ厳戒下で、首相官邸での乱脈が暴露され、ジョンソンの人気が地を這う有様。

 ロシアのウクライナ侵攻で戦争が始まってくれれば、パフォーマンスで、なんとかクビがつながるかもしれないという予想が出ていた。

 9日、ジョンソン氏は、時来るとばかり、キーウへ入った。「21世紀最大の軍事的成功」だとか、ウクライナ国民とゼレンスキー氏に対して「英雄」と褒め称えた。パフォーマンスの手土産は、装甲車120台と、対空・対戦車ミサイルのスターストレークだ。もっと戦争してくれという次第だ。

 たぶん、少なからぬイギリス国民が、恥知らずの首相の恥の上塗りを感じただろう。政治家が戦争を賛美してどうするんだ。ポピュリスト政治の極みだ。

 一刻も早く、停戦させる努力をするのが本来の仕事だ。権力のポストを手放さないためには、なんでも利用する。死の商人という言葉があるが、これにならえば、ジョンソンは、死の政治家というべきだ。