論 考

ウクライナの戦略

 ロシアがウクライナに侵攻して1か月、軍事力で圧倒して、ウクライナをボロボロに破壊しつつある。ウクライナ人口4,400万人のざっと1/4が国内外の避難民化した。

 着々軍事的勝利をあげているはずが、ロシア軍の攻勢は全面的に停滞している。ウクライナがロシア黒海艦隊から入手した! 機密文書によれば、侵攻は2週間で完了の目論見だった。大きく外れたという事実。

 燃料・食料など兵站が伴わず、ロシアの戦車・トラックなどの損失が非常に大きい。兵站は原則中の原則だから、まさに、相手を見くびったと考えられる。

 ロシアは兵士19万人を送り込んだが、北西キエフ、北東ハリコフ、東ドンバス地方、南マリウポリなど4か所へ分散したから、単純計算すれば、それぞれ5万人ずつ、迎え撃つウクライナの負担を軽くした。

 市街戦となれば、守備するほうが優位で、攻める側は5倍の兵力を要するらしい。ロシア軍が遠巻きにして大攻勢をかけていない理由かもしれない。

 戦争は、軍事力=モノと人間がおこなう。軍事力とは、いわば人間のモノ化である。しかし、モノが侵攻を妨げられ、モノと人間がちぐはぐになる。ロシア軍の士気が低いのも、どうやら事実らしい。

 キエフ西方のマカリフや、同北西のイルビンをウクライナが奪還したという。

 昨夜、日本向けゼレンスキー氏演説は、従来の詩的な雰囲気はなかったが、後半でウクライナの復興に話が及んだ。出口戦略を考えていると言えよう。もちろん、余裕があるわけはないが、しっかりした戦争指導をしている。