論 考

ウクライナ事情の剣呑

 プーチン氏が、「ウクライナはクリミア奪還を狙っている。ウクライナがNATOに加入すれば、ロシアはNATOと戦争することになるから、加入は絶対反対だ。欧米はロシアの発展阻止が目的だ」と語った。

 国連常任理事会ではアメリカとロシアが激しく応酬し、双方とも、問題解決の糸口を探すどころか、派手な立ち回りをするだけである。こうなると、まさにどっちもどっちで、手が付けられない。

 一連の流れからわかるのは、外交上の混乱を起こって、それが行き詰まると軍事力行使になりかねないことだ。プーチン氏の発言の文脈から透けて見えるのは、混乱によって軍事侵攻せざるを得なくなったと理屈を立てたいらしい。

 ことに、ウクライナ国内が浮足立つのは、プーチン氏が望むところである。交渉による問題解決を進めるには、欧米の恫喝路線はよくない。米・英・仏・独の見解にズレがあるのもまずい。