論 考

裁判官のサボタージュ

 2017年に安倍内閣が、臨時国会召集要求を受けたにもかかわらず、98日間無視・放置して、国会開催冒頭解散した。

 元衆議院議員高井崇志氏が起こした内閣の憲法違反問題にかんし、昨日、広島高裁岡山県支部は、違憲と評価する余地はあるが、内閣は個々の議員にたいする国会召集義務や賠償義務を負わないとして、1審に続き原告の訴えを退けた。

 要するに、例によって、司法が憲法判断を避けた。

 「裁判所は憲法の番人」というのは、学校で教わる基本的原則である。理屈をこねて本来の任務を放棄した。昨日、本欄で三権分立の意味について触れたが、まことに残念ながら、日本の司法が行政に従属している見本だ。

 この手の問題は、国民的関心があまり高くないようだが、問題の質としては、きわめて大事である。

 さらにいえば、国民諸兄姉が政治をきちんと監督しないかぎり、日本のデモクラシーは本物にならない。