論 考

司法権の独立

 アメリカ連邦最高裁判所の判事は、保守派6人・リベラル派3人の構成になっている。最高裁判事は終身任務だから、本人が引退するまで勤める。

 リベラル派のブライヤー判事が、引退を表明した。後任判事の任命は上院の了解が必要で、目下上院は僅差ではあるが民主党が多数派なので、後任の任命はリベラル派になるだろう。もっとも、民主党内が結束する前提である。

 トランプ政権のときに、いまの保守・リベラルの構成が6対3になった。

 違和感があるのは、任命を通して、行政が司法を牛耳っているので、露骨な任命がなされることである。

 かねて、ブライヤー判事は、行政の一部門として見られる事情に問題意識をもって活動してきたと伝えられる。

 日本でも、実態は似たようなものだ。最高裁裁判官の国民審査が総選挙と合わせておこなわれるが、人々の関心が高くはない。

 民主主義のポイントは三権分立である。とかく行政権が拡大解釈的に行使されやすい。これを忘れないようにしたい。