地震といえば最初に思いつくのがトイレだ。水洗トイレは便利だが、すでに当たり前で、ふだん、ありがたさを感じる人は少ないだろう。
わたしが子どものころは、おおかたはくみとり式で、歓迎したくない臭いがつねに充満していた。
60年代初めに社会人になって、水洗トイレがここちよく、さらには座椅子型になってますます嬉しかった。トイレ個室からいびきが聞こえて大笑いしたこともある。
2011年に岩手県宮古市へ、震災後のお手伝いに出かけた際も、事前に十分心配したのがトイレであった。それで不自由することはなく、本当に助かった。
短い時間であるが、トイレに入るとほっとするだろう。当事務所は雑居なので、わたしの朝の作業は、トイレ掃除から始まる。
新人にトイレ掃除をさせる会社がある。新人が、それを義務感ではなく、心地よさの価値観と理解できるようになったら、新人は本物だ。理屈は、ともかく、これはちょっとした人生の発見に通ずるのではあるまいか。