論 考

憲法論議の疑問

 野党、立憲民主党が反対ばかりだという風潮が形成されて、与党などはここぞとばかりに改憲論議に走りたいらしい。

 反対ばかりというのは、決めつけすぎだ。そもそも、議会審議を乱脈にしたのは与党である。乱脈審議の流れにおいて、あるいは、権力を行使する側が権力維持を最優先に議会運営する事態において、改憲論議に慎重になるのは当然の見識である。

 たとえば第9条に自衛隊条項を書き込むのは、日本の平和外交路線を根底から覆す。いまの世界の緊張関係において、日米同盟を絶対化している事態からして、米国と一蓮托生になれば、日本としての平和外交の歯止めがなくなる。

 戦争は、いつ、何がきっかけで始まるかわからない。総選挙に半分くらいしか投票しない国民性を考えれば、改憲論議を盛り上げているのは、与党とその取り巻きだけである。

 戦争は、戦争をしたことのないものに心地よい。いざ、戦争が始まれば、その人々は、わたしは賛成ではなかったと弁解する。

 「平和憲法」という概念を、1人ひとりが深く考えねばならない。流されてしまった後でいかなる理屈を述べても、流された責任は消えない。