論 考

民主主義の旗印と実践が大事

 枝野氏が辞任する。党首力がどうだとか、枝野個人商店だと指摘される。

 人気稼業だから、見てくれも大事だろう。なるほど、枝野氏に「花」があるかといえば、ない。忘れてならないのは民主党時代、前原氏が軽薄かつ大拙速で党を分解した際、最悪の地平から、立憲民主党を立ち上げた枝野氏の大奮闘は立派な功績である。それは、人々の民主政治への大きな期待であった。

 個人商店が大企業と渡り合えないのは当たり前だ。個人商店には、もう1つ側面がある。議員1人ひとりが個人商店化している。55年体制時代の社会党も、党マネジメントが整備されず、個人商店の典型だった。

 新たに立ち上げた政党は、この段階を乗り越えていかねば、大きくはなられない。外目には、立憲民主党のブランドがまだひ弱なのである。

 維新も、松井・吉村両氏の個人商店だが、地域戦略に徹して、地方議員を着々増加させる活動を基本として伸長してきた。これは、おおいに見習うべきだ。

 立憲民主党は創立以来、「風頼み」である。事前の意識調査を考えれば、今回の選挙結果は、要するに、琵琶湖のヨットであって、自力が不足していた。

 わたしがいちばん残念なのは、旗印の「政権交代」が失敗だったことだ。政権の受け皿というような、背伸びをせず、民主主義を崩壊させてきた与党政治に掣肘を加え、民主主義らしい政治を取り戻そうと呼びかけるべきだった。

 人々は、政治を身近に感じられる、真っ当な政治を求めているのである。真っ当な政治とは、与党だけがおこなうのではなく、すべての政党が参加した政治の全体が生み出すのである。自民党は、体質的に「非民主主義」の人々が多い。

 立憲民主党に限らず、日本政治に民主主義の成長・発展をさせる旗印こそが最大の課題である。