論 考

人生は短い-選挙編

 おつきあいのあるランドリー主人は、いつも愛想がよろしい。会話の大方は、季節の変化、暑さ寒さから入る。当方は、長話をしないから、短い会話でも弾ませたいと一応の心積もりしてドアを開ける。

 昨日は17時過ぎ、「早く暮れますねえ、もう真っ暗」、「日が短くなりましたねえ」とお話になる。

 思わず、「いやあ、1日は長いですが、人生は短いですよ」と応じた。主人は「なるほど、名言ですねえ」と愛想がよろしい。

 店を出て、歩きながら考えた。長く感じるのは、厄介なことに直面するとか、退屈しているからである。夢中になっていると時間を忘れるというのは誰もが体験しているだろう。

 選挙まで、運動期間は残り2日間。新聞記事をよむと、政治的課題や政策の大きいところが、すでに何度も繰り返して掲載されるし、さらには政策に関しての注文がかなり細部にわたっており、読者としては、理解するのに少々難儀な面も出てきたほどだ。

 選挙期間は短い感じがするが、日々報道に接していると、次第にダレを感じる。もっともこれは部外者だからである。

 運動している人は、もっと時間がほしいと思う。それでも、日を追って肉体的精神的疲労と、先が見えないので、1日が長く感じられる。そして、終われば、「短かったねえ」と漏らすのである。

 1日は長いが、人生は短い――これ、案外名言かもしれない。