論 考

本当に社会・経済政策ありや

 米国FRBは、2022年中には利上げへ踏み切るという見方が優勢になってきた。2年物国債利回りを0.21%から0.40%にするという見方だ。

 一方、この15日に1ドル=114円台をつけた。ドル高・円安で円安が目立っている。

 世界経済は、コロナによる供給不足、ベア圧力、原油高が加わってインフレが加速しそうだ。この面でも日本は単独で、デフレが続いている。

 日本の貿易収支は8~9月、連続で赤字を記録した。原油が80ドルなら、家計は2.8万円/年、90ドルになれば3.3万円の負担増になるという試算が出ている。寒さが沁みる景色である。

 円安でも日本企業の輸出が増加しない。元気がない。選挙戦では「成長と分配」論がにぎやかだが、まさに選挙で政治空白の感じである。

 かつての高度経済成長を彷彿させる「所得倍増」を、岸田氏は総裁選でぶったか、その後は沈黙だ。

 池田内閣の高度経済成長論は、もちろん池田勇人首相(在1960~1964)がぶち上げたのである。なにもない状況で打ち出したわけではない。民間設備投資が猛烈であった。GNPの29%もあった。

 年率11%の高度経済成長は、奇跡とまで言われた。たしかに所得は増えたが、物価が大幅に上昇し続け、社会資本不足と、格差拡大、国際収支の悪化をもたらした。

 岸田氏は、「新しい資本主義」を提唱するが、中身はまったく不明、分配だ、成長だと演説するが、新しいという以上、構造的な問題に取り組まねばならない。財政大盤振る舞いの状態が続いたのでは、新しいどころの話ではない。

 選挙でどんな結果が出ても、すべての問題は、そこから始まる!