論 考

配分論と賃金交渉

 誰が見てもわかるのは、今回の選挙公約が全党挙ってバラマキを表明していることだ。逆に言えば、与野党いずれが勝利しても、パイ分配に与るという理屈だが、どこへ、どのように配分するかは選挙戦では煮詰まらない。

 それはともかくとして、年明けには組合の賃金交渉への流れが開始する。連合は、定昇込み4%で取り組むようだが、外から見る印象としては、もっと思い切って引き上げを打ち出すほうが、戦略的によろしい。

 30年来のデフレ脱却のためには、「賃上げ⇒物価上昇⇒デフレ脱却」の構図が描ける。

 ところで、政治が賃上げするのではない。経営者が賃上げしやすいような法人税を使うことになる。安倍内閣では、もともと賃上げをする気配のあった企業が賃上げした恩恵を受けるというパターンであったから、渋る企業が賃上げに踏み切るだけの刺激にはならなかった。

 いわば、政権は、賃上げしますという宣伝効果の恩恵を受けて、組合は、「官製春闘」などと揶揄されて、評判を落とした。のみならず、働く人が実際に賃上げでよかったというところまでは行かなかった。

 だから、組合としては、前述の賃上げ・デフレ脱却論を大胆に推進するべきだ。選挙結果はわからないが、自公が引き続き政権を担う場合を想定すると、組合の賃上げ意欲が弱いと踏まれれば、配分公約は、確実に限りなく最小になる。

 連合はもっと大胆に賃金交渉の戦略を立てるべきである。