論 考

各社の社説に注文

 新聞は盛んに、各党は、選挙に向けて政策論争を競えという主張で、これはいずれの新聞も共通している。

 しかし、たとえば分配優先論にしても、これは構え方であって、具体策まで練り上げられていない。選挙公約の政策は、どうしてもアイデア勝負になる。

 そもそも選挙公約に盛り込んだ政策で「すべてよし」ならば、議会活動など不要だ。だから公約の政策の具体策を示せという論調はナンセンスである。

 本日の朝日は、「成長と分配 具体策を競い合え」、毎日は、「分配実現の道筋を明確に」と似たような表現である。

 選挙は、任期4年間の国会で議論する議員を選択するのである。選挙公約がいかに素晴らしくても、それは今後の議会論議の方向性についてであって、1票投ずれば一件落着――ではない。

 有権者は、選挙後は議会と議員、内閣と政府の活動ぶりをじっくりウオッチするのである。

 そんなことはわかっているだろうが、いや、実はわかっていないから、政権政党が「選挙で勝ったのだからすべてお任せ願いたい」という、トンチンカンな気風になってしまう。

 紋切り型ではない社説を期待する。