論 考

衆議院選挙が分岐点

 自民党総裁選で岸田氏が総裁に選出された。4候補では、やはりもっとも自民党の流れを踏まえている人が総裁に選ばれた。

 ついでに言うならば、河野氏に対しては自民党(議員)的アレルギーが強く、高市氏支持からすれば自民党議員の30%程度が安倍的アナクロニズム的体質を抱えている。いわく、国家主義である。

 河野氏は党員・党友の45%程度を獲得した。単純に考えて、選挙の顔としては最適だろう。しかし、岸田氏に支持が集まったのは、選挙向けだけではなく、自民党としてそれなりに筋を通した! といえる。

 岸田氏が就任挨拶で、日本が「民主主義の危機」にあると語り、「生まれ変わった自民党」をみてもらおうと語ったのは、岸田氏流の「安倍・菅」政治の総括ができなければ意味がない。なぜなら、「民主主義の危機」を招いたのは、自民党政治だからである。

 安倍・高市陣営の支持を獲得した勝利であるから、単に自民党の支持がほしいだけの外向け発言だとすれば、早晩ボロが出る。

 そもそも、岸田氏の宏池会は、安倍氏的思想とは流れが違う。敵(河野)の敵は味方という発想もあるが、果たして独自性を出せるかどうか。ここが、政治家として今後大きく化けられるかどうかの試金石だ。

 最初の人事は、論功行賞に走るのが経験的傾向である。党人事、続く閣僚人事の顔ぶれが、安倍的なものになれば、安倍・菅の流れ、安倍傀儡政権のレッテルを貼られる。

 次なる関心は、衆議院議員選挙において国民の反応が、日本の政治を民主的なものに戻そうとするか否か! 自民党が心を入れ替える(?)だけでは、「民主主義危機」が継続することになる。