論 考

魂なき政治家

 ロシアが、AI殺人ロボットとドローンの活用に力点を置くので、量産体制に入るという。AI殺人ロボットを「魂なき軍隊」と呼ぶそうだ。

 古代から中国では、「好鉄は釘に打たれず・好人は兵に当たらず」という言葉がある。釘になるのは屑鉄で、まともな人は兵などにはならない。庶民的心情を素直に表現している。

 ロシア流は、兵といえども人を殺戮するのは嫌だから、ロボットにやらせる。なるほど、ロボットには魂はない。

 いかにも人心を考えたかのように聞こえなくもないが、「魂ある人間」を殺傷するための殺人ロボットを使おうと考えた人間は「魂ある政治家」である。

 自分が直接手を下さないからといって、殺戮を命令する人の魂が救済されるわけではない。

 むしろ、自分が手を汚さなければ平然と殺戮ができるという「魂ある政治家」の魂とは、いったいいかなる魂なのか。まことに、罰当たりである。