日々道楽

デモクラシーの政治家

 イギリスで1924年、労働党内閣を率いたラムゼイ・マクドナルド(1886~1937)と面会したチャールズ・チャップリン(1889~1977)が、マクドナルド首相に尋ねた。「労働党内閣は、国家の性格を根本的に変えてしまうだけの力はあるのですか?」

 首相はユーモアたっぷりに答えた。「当然そうでなくちゃならんのだが、そこがイギリス政治のおかしなところでね。この国じゃ、みんな政権を握ると、とたんに無力になるんだね」

 1958年、自民党の河野一郎(1898~1965)は、街頭演説で語った。「選挙に勝った以上は、政治というものはきれいにわれわれに任してもらいたい」

 竹下登(1924~2000)の持論は、「強いリーダーという言葉は民主主義と似つかわしくない」というものであった。

 もちろん、竹下は優柔不断ではない。大蔵大臣当時の1980年、三菱銀行本店の竣工披露パーティ挨拶で、金融自由化反対を唱えるバンカーを前にして、「こんな立派な本社を竣工する銀行が、自由化ごときに反対するのはおかしい」とぶった。

 総裁選候補者は、自己宣伝に一所懸命であるが、表面的に強いリーダー、決断力、実行力を売り込む前に、前述の3題話の含意を味わってもらいたい。

 2題目は、民主政治のなんたるかを弁えていない典型である。