論 考

アフガニスタンと日本に通ずるもの

 タリバンが北東部パンジシール州で、タジク系中心の反タリバン勢力と衝突している。

 反タリバン勢力を率いているのは、1990年代後半にタリバンが政権奪取するまで、反ソ・反タリバンを戦っていたマスード国防大臣の息子のアフマド氏である。

 アフガニスタンの国作りを進めるためには、タリバンが各党派・各民族を幅広く結集した政治的枠組みを形成しなければならない。まだ詳細不明だが、米軍が去ったものの、20年以上前の内戦が復活する懸念がある。

 武器によるリーダーシップ争奪戦である。話せばわかるという交渉関係が長く途絶えているから、容易に話し合いシステムに辿り着かない。

 こちら、自民党総裁選が本格化する。メディアは誰が首相によろしいかの意識調査をするが、これまた、永年の習癖が改善されない。

 当面の選挙は、菅氏が30日でその任期を終えるので、後任の総裁を選ぶ。そのまま首相に就任するのは「たらい回し」であって、議会の承認を得ていない。

 たまたま与党が多数だから、議会で多数決すれば首相になるが、たかだか100万人ほどの自民党員・党友による選挙である。

 総裁直ちに首相と短絡してもらってはよろしくない。

 今回の総裁選は、安倍・菅内閣9年間の総括をやるのが筋道である。このまま進めば、そんな厄介なことはパスして、選挙受けする「顔」に挿げ替えるという、選択に過ぎない。不真面目である。

 アフガニスタンの政権選択は命がけだ。わたしは、武器で政権選択するなど大反対であるが、わが国内のあまりにも軽挙妄動的な自民党総裁選と、それに対するメディアの浮ついた報道態度を見ると、中身スカスカに見えて不愉快千万だ。

 アフガニスタンから遠く離れているけれど、政治の品質の劣化は、意外なくらい近接しているのではあるまいか。