論 考

石破発言と野党陣営

 石破氏が、「自民党総裁選をフルスペック(総裁選規定通り)にやるなら、政治が止まる。(コロナで不満が渦巻いている時)国民の理解が得られるか」と語った。

 自民党内に「(菅氏ではダメだから)総裁選をやって、総選挙に臨め」という声が大きくなる中で、これは、菅氏で選挙をやれということだ。菅氏支持でやってきた主流派閥に、冷や飯を食わされてきた石破氏が投じた変化球である。

 表面的には菅氏支持発言に属するが、菅氏を選んだ派閥の責任を問うているわけで、蚊帳の外から見ている分には、なかなか面白い。

 いまの雰囲気のまま、菅氏を担いで総選挙となれば、自民党は相当のダメージを食らう。

 小泉流の「自民党をぶっ潰す」というコピーは掲げていないが、自民党が解党的出直しをしなければダメだという、石破氏の読みと期待がありそうだ。

 ここで、野党側がしっかりしないといけない。横浜市長選で、連合神奈川は、山中氏の街頭演説に、立憲と共産が並ぶなと注文をつけ、国民が自主投票にしたという動きがあった。

 こんなスケールの小さいことをやっていたのでは、ダメな自民党よりもダメだという批判が起こって、またまたチャンスを逃がしかねない。

 総選挙では、立憲と連合が気持ちよく連帯して戦えるようにしなければならない。連合結成以前から、連合内右派は、議会制民主主義の発展を目指していた。安倍・菅が破壊した議会政治を鍛え直す時である。