論 考

パラリンピックの中止を

 コロナ感染拡大が止まらない。昨日は、感染者10万人当りで10人以上が47都道府県になった。25人以上は38都道府県、35人以上は31都道府県である。100人超は、沖縄・東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪である。

 たとえば東京港区の保健所は以前の人員30人を80人まで増員しているが、それでも病院の手配が円滑に進まず、所員は疲労困憊している。おそらく、他の保健所も似たようなものであろう。

 20日から、緊急事態宣言に従来の東京・埼玉・千葉・神奈川・大坂・沖縄に茨城・栃木・群馬・静岡・京都・兵庫・福岡を加える。蔓延防止も、新たに宮城・山梨・富山・岐阜・三重・岡山・広島・香川・愛媛・鹿児島を加えて、9月12日までとする。両方合わせて30都道府県である。しかも宣言などの効果がさらに大きく向上するかどうかは疑問が多い。8月5日には、専門家が「全国に宣言を出すべきだ」と意見していた。

 いま政府・自治体がおこなうべき仕事は、コロナ感染拡大防止のための体制を整備することである。自粛頼みだけではなく、行政として新たにどんな手が打てるか、少なくとも、第一線の現場と政府中枢の状況認識・問題意識を合致させねばならない。

 この事態で、パラリンピックを開催するのは賛成できない。選手のみなさんや、熱心なファンの気持ちは理解するが、このままで強行するのは、ものごとの価値順位がおかしい。自粛効果が上がらないのを批判しつつ、わざわざ負担を増やすのは無理筋である。