論 考

いまだ鎖国状態の入管

 出入国管理庁自身による、スリランカ人のウイシュマ・サンダマリさん病死にかかわる調査最終報告書が出たが、どうもすっきりしない。

 「人の命を預かる行政機関としての緊張感や心の込め方が不十分」というが、実は、入管職員は人の命を預かるという大義で活動していない。今回は名古屋入管だが、2007年から全国で17人亡くなった。

 難民認定などは申請の1%程度である。医療体制不備は以前から批判されている。いわば、入管職員は「不法入国者」を認めないことに、職業的自負心をもっている可能性が高い。

 今回の責任者処分も、局長・次長が訓告、幹部2人が厳重注意というのだから、ほとんど処分という内容には見えない。その背後には、そもそも法律の建前に沿って職員は活動しているのだから、今回の事件で厳しい処分はしないと公言しているようなものだ。

 グローバルだのなんだのと、体裁を整えることは得意であるが、現実には、入国管理問題は、お話にならない――鎖国体制――にある。程度が悪すぎる。とても先進国とは言えない。法律の基本的審議から始めねばならない。