論 考

なんとか無事に終わってほしい

 昨日12時半ごろランチに出かけると、富ヶ谷1丁目の歩道橋上にたくさんの人がいる。まったく知らなかったが、ブルーインパルスが五輪の字幕を描くので見物に来た人たちだった。だいぶおんぼろ橋だから大丈夫か、という心配をするほどの人だかりではなかったが、猛暑の中、好奇心の強いみなさんに感心する。近くの代々木公園は大変な人出だと後で知った。

 いつもは行かないレストラン、卓上には「黙食」の札が立ててあるが、そうはいかない。結構、盛り上がっている。じはらくすると、窓際の客たちの声が大きくなった。「ジェット機が飛んでる、飛んでる」と大人がはしゃぐ。

 報道では、気流に流されて、しかと空中五輪は見られなかったそうだが、みなさんはそれなりに満足しているようであった。

 五輪人気挽回のためには、おおいに盛り上がってほしいだろうが、人出が増えるとコロナ感染拡大のリスクが膨れる。

 夜は、開会式を取材するヘリコプター数機の灯が新宿方面の上空に見えた。

 本日朝日朝刊は、――コロナ禍で差別や格差が顕在化し、分断が叫ばれる時代にあって、国境の垣根を飛び越えて競い認め合うアスリートは希望である――と書いた。これは、あまり歯切れがよくないが、第一線で汗をかいている五輪関係者の、「なんとか無事に終わってほしい」という一言にはしみじみ共感した。