論 考

政治リスクの核心は不正直

 読売の世論調査で、内閣支持率が全国では39%、高すぎるのではないかと思ったが、東京だけに限ると28%である。政権を握っていることが最大の力であることを示している。

 自民党内には、コロナと五輪について、国民目線でのていねいな説明が不足しているからだという分析があるが、見方が甘い。ていねいな説明を求めているのではない。人々は政治家の正直な態度を求めている。

 「国民目線」といえばもっともな感じがするが、安倍内閣から菅内閣へと続いた政権運営において、そんなものはとんとお目にかかっていない。

 金融市場では、海外投資家が日本株式の買い控え傾向にある。理由は、五輪の逆風と、コロナ対策不手際続きで、政治リスクが高まったという見方だ。じつに単刀直入、明瞭な問題意識である。

 いろいろさまざまに問題が台頭してくるのは避けられない。そこで大事は、ものごとを隠さず、正直に公開し、いかなる論議を経て、対処方針を決めたか。人々の疑問に肩透かし的答弁で逃げを打つのではなく、真正面から納得してもらうまで誠意をもって対応しなければならない。

 まあ、全国で39%もの! 支持があるから大丈夫と考えるようなセンスでは、内閣改造をしたところで支持率は改善しない。スカを食わされて鷹揚に構えている国民ばかりではない。