論 考

段取り下手が招く矛盾

 今度は、ワクチン手配を巡って不具合が発生している。

 大号令をかけることができても、それを具体的に遺漏なく取り組むためには、関連する仕事を1つひとつ積み上げて時間軸にのせねばならない。これが段取りである。

 大号令をかける人物が抱いている時間軸は、解散総選挙であろう。

 自分がかけた号令が、あっちへぶつかり、こっちへよろよろして、解散総選挙時間軸に不都合をきたす。すると、またまた中号令・小号令を発して解散総選挙時間軸との調整を図るのだが、場当たり的であるから、つねに不安定である。

 号令をかける人の知見や洞察力が低い分、号令をかけられる側は右往左往させられる。

 菅氏は首相就任に際して、「自助・共助・公助」という言葉を掲げた。これは、災害対策分野などでもっとも浸透している言葉である。コロナという災害において、全体采配をとるのは菅氏だが、実は菅氏自身が「3つの助」の実践技術を持ち合わせていなかったし、この間、学習効果がまるで出ていないように見えるのがまことに遺憾だ。